余部鉄橋、「一部保存」提言。
6日の
日本海新聞、
神戸新聞に
『余部鉄橋「一部保存を」 検討会が提言 観光に活用』の記事。
今月中にもコンクリート橋への架け替え工事が始まるJR山陰線の
余部
鉄橋(兵庫県香美町)について、架け替え後の取り扱いを検討する「余部
鉄橋利活用検討会」(座長・川﨑雅史京大大学院助教授)が5日、香美町で
第5回会合を開き、
「鉄橋の一部を残すことが望ましい」とする
提言を
まとめた。
95年の歴史を持つ鉄橋を観光などに生かすのが狙いで、
併せて
鉄橋記念館の整備も提案した。13日に
井戸敏三県知事に
報告書を提出する。
提言は過去4回の検討委員会で、委員から出た意見を集約。基本方針と
して、
①地域住民への安全性確保 ②鉄橋の記録保存、情報発信、
交流拠点の施設整備 ③住民主体の地域振興 ④近代土木遺産として文化財登録を目指すこと
を盛り込んだ。
香美町・藤原久嗣町長は、
「この提言なら住民の安全は確保できる」と評価し、
「地元住民は
誰よりも鉄橋を愛している。鉄橋を生かし、余部地区や町の発展の起爆剤に」と。
香住町観光協会・関清徳会長は、
「観光業で明るい話題を示せる提言だ。保存した橋脚に
展望台を造るなど、積極的に活用したい」と意気込みを見せた。
座長の川崎雅史助教授は、提言について
「新しい橋と関連施設、一部保存する橋脚を含めた
全体で、地域に新しい風景を作り出すことを目指している」と話す。
検討委員の1人、
兵庫県県土整備部・原口和夫部長は
「JR余部駅に接続する西側の橋脚3本を
残したいという地元の意見を尊重したい」との考えを示した。
県は今後、JRや地元住民の意見を踏まえ、提言の内容を具体化する基本計画を来年度中にまとめる
予定、という内容。
余部鉄橋は、JR山陰本線の
鎧駅と
余部駅間に1912(明治45)年3月開通した鉄橋。
長さ約310m、高さ約41m。鉄橋の下を国道178号線が走る。鉄骨をやぐら状に組んだ橋脚で支える、
日本最大規模の「トレッスル橋」。06年、
毎日新聞「ヘリテージング100選」に選ばれるなど、
近代歴史遺産として高く評価されているほか、
鉄道ファンのみならず、人気の観光スポットになっている。86年12月、
鉄橋を走行中の回送列車が突風で転落。下の工場の従業員と列車車掌の計6人が死亡する事故が
発生。事故後、強風時の通行規制が強化され、強風による運休や遅れなどダイヤの乱れが増えたこと
から、01年、JR西日本がコンクリート製の新橋設置方針を打ち出し、今年3月の着工、10年の工事
完了を予定している。
観光客からは現在の鉄橋がなくなる事を惜しむ声が後を絶たず、ここ最近、工事前の鉄橋を
一目見ようと、
多くの観光客が訪れているが、私有地への無断立ち入りなどの
マナー事情が問題視
され、地域住民の鉄橋を観光資源として保存することについての
否定的な見解、旧鉄橋そのものの
撤去を求める声が少なくなかった中での今回の「一部保存」提言となった。
観光客のマナーの悪さは、世界遺産・白川郷などでも問題視されている。
観光振興の裏側として常につきまとう現実ではあるが、JTの「あなたが気づけばマナーは
変わる」し、観光客を受け入れる「地域も変わる」日本であって欲しい。
■余部鉄橋 地図はこちら
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