シニア市場、「学び」が有望。

2006年11月03日/ 団塊市場の旅行消費

シニア市場、「学び」が有望。  団塊世代の退職が始まる2007年を前に、シニアの心をとらえる有望な
 キーワードが浮上してきた。「学び」である。
  JTBは今年夏から「シニアサマーカレッジ」という企画を始めた。各地の
 大学と共催の形で、歴史や自然科学などの講義を2週間にわたり開講する。
初年度は山口大学、弘前大学の2大学で実施し、それぞれ目標数を上回る参加者を得た。来年夏は
全国で10校近い国立大学で実施する構想だ。
シニア市場、「学び」が有望。  今夏の参加者は52歳~80歳まで。大学側も18歳人口が減少する中で、
 教育の対象を拡大できるメリットがある。「参加者は予習をきちんとし、
 質問も盛んで、もちろん居眠りはしない」
(JTB事業創造本部ビジネス
 事業部チーフフロデューサー・篠崎宏氏)。教える側にとっても新鮮な体験に
なったようだとみる。(中略)
 なぜ「学び」なのか。
自発的に何か学ぶのは基本的に楽しい行為。楽器をゼロから習得することに比べれば敷居は低い。
若いころいったん学んだ分野や、仕事で親しんだテーマについて「いつか深く掘り下げて勉強したい」という
思いを持つシニアは多い。いよいよ時間が自由になった今、「学び」に目がいくことは自然の流れ。
その手がかりは大学は頼りになる存在に映る。
 これまで興味があったことだけが学びの対象ではない。JTBの「サマーカレッジ」では受講科目は全員
共通だったが、事前の関心は低かった科学系講座の満足度が高かったという。予備知識が無かった
分野でも初めて触れることで興味が喚起されるのだ。シニアの知的好奇心はかなり高いとJTBの
担当者は見る。
そうした知的活動を通じて「頭の老化」を防ぐことが期待できる。今年のヒット商品である「脳を鍛える
ゲーム」を支えたのが中高年消費者。その先に大きな鉱脈が見えてきた
「学ぶ」という行為は経済状態に左右されにくい。裕福な人は欧州の歴史を学びに現地を周遊する
かもしれない。そうでない人も1冊の本と時間、テレビ番組などで知的好奇心を満たすことは可能だ。
経済状況や体力に合わせてさまざまな商品やプログラムを設計できる。現実のシニアの「消費力」は
格差が大きいが、共通して楽しめるのが「学び」。
必要な「脳力」は経済力と比例しない。
「男性が」「ひとりで」楽しみやすいのも大きな利点。JTBの「サマーカレッジ」では男性が7割弱で、
単身での参加が圧倒的多数。シニア消費というと夫婦での行動を思い描きがちだが、需要と供給の
ギャップが大きいと見られるのが、「男ひとり市場」。
座学を基本とする学びの場は単独行動者が
参加しやすい場の1つだと思われる。
 シニア市場の開拓に悩む企業は多いようだ。大学以外の一般企業も今のメニューに「向上心」という
要素を加味したらどうだろう。
他社ではなく、昨日の自分と比べて今日の自分が成長したと実感できる
ことは、生きている喜びそのものでもある。
(11/3 日経MJ 『石鍋仁美のマーケティングの「非・常識」』)

JTB『シニアサマーカレッジ』 http://www.sscollege.jp/

 「生涯学習」と「旅」をつなげ、旅行会社が集客する。こういったところに旅行会社の存在価値を
上げるヒントが隠されている
と感じる。


同じカテゴリー(団塊市場の旅行消費)の記事

Posted by コンシェルジュ『J』 at 13:35│Comments(2)
この記事へのコメント
大変勉強になりました(^^)。私の父もまさしく団塊の世代なので、理解しやすかったです。
Posted by makimaki at 2006年11月03日 13:51
シニア市場の「旅」と「学び」。
場の提供はこれからもっともっと必要とされてきそうですね。
google map を使ったりするだけでもかなり楽しそうです。
勉強になりました!
Posted by 和Station at 2006年11月04日 04:51
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。